
亀田医療大学の沿革と概要
亀田医療大学は、江戸期に亀田自證が鴨川に開いた学問所「鉄蕉館」を源流とし、長年の看護者養成の蓄積を基に2012年に開学、2019年には大学院看護学研究科を設置した学生数約300名の看護系単科大学です。
千葉県鴨川市にキャンパスを置き、母体である亀田総合病院との密接な連携のもと、急性期から在宅まで現場直結の実習と国際的視野を重んじる教育で、地域と世界に貢献する看護専門職を育成しています。

学内におけるIRの体制と役割
本学では、学内の基礎データ(入試・在籍・成績・学修行動など)を横断的に把握し、執行部・委員会の意思決定に資する情報提供を行う体制を整えています。実習担当教員と学内教員の合同会議が定例化されており、教育現場での気づきとデータ上の兆候を往還させる“現場近接型”の運用を志向しています。その一方で、データの所在や定義が部局ごとに分散するという構造的課題も抱えていました。
IRは学長戦略室の部会として運営されており、学務等のデータ収集とチェックを石井に代表される事務方グループが対応、分析業務や報告書の取りまとめは教員グループが担当し、桝本は統計的な評価や分析も行っています。人的リソースの制約により専従はおかず、皆が他業務との兼務で対応しており、IR業務の効率化は最も重要なテーマの⼀つです。


IRにおける課題とIRQuA採用のポイント
IR業務の標準化やIRスキルの横展開が課題だった
小規模大学ならではの体制上の制約から、Excel や統計ソフトを扱える担当者に集計・可視化が集中し、再現性の確保が難しい状況が続いていました。人事異動のたびに手順が“暗黙知化”し、蓄積した知見を教育改善や学生支援に接続しにくいことも課題でした。
さらに、「必要なときに、必要な部局が、同じ定義で同じ数字を即時に確認できる」基盤が不十分で、3ポリシー点検等の必須業務に追われる中で、IRが中長期の戦略にどう寄与するのかが見えづらい局面もありました。
運用容易性と費用対効果がIRQuAの強み
IRQuA は、CSV をアップロードするだけで標準指標のダッシュボードが自動生成され、学内の誰もが同じ指標定義で状況を把握できます。導入時点から“作り込まずに使い始められる”平易さが評価されました。
費用面でも、専用のIR用分析基盤をオーダーメイドで構築する場合に比べて「一桁以上安い」水準で導入・運用が可能です。まずは必要最小限の範囲で立ち上げ、成果を確認しながら対象データやユーザーを段階的に広げていけることが、限られたリソースでも実装可能な現実解となりました。
IRQuAの活用シーンは日常の意思決定から認証評価まで多岐にわたる
会議の即時性と議論の質向上
執行部会議や IR 委員会では IRQuA の画面をそのまま投影し、大学基本指標や入試・在籍・学修関連のダッシュボードを起点に議論します。グラフのドリルダウンや条件切り替えにより、後日の“持ち帰り集計”を減らし、会議の場で仮説検証まで進められるようになりました。直感や経験則だけに頼らず、“同じ指標・同じ定義”を共通土台に意思決定が行えます。
機関別認証評価でのエビデンス提示
機関別認証評価では、評価者に IRQuA の画面を直接提示し、自己点検・評価の仕組みと継続的モニタリングを具体的に説明しました。固定の報告書だけでは伝わりにくい“運用の再現性”や“日常的モニタリング”を可視化でき、「いつでも同じ指標を再表示できる体制」を示せたことは、外部への説明責任の観点でも有効でした。
全国比較・ベンチマークの活用
IRQuA 標準機能として提供される学校基本調査などの外部データとの比較により、自学の立ち位置を客観的に把握できます。看護単科という特性を踏まえ、規模や地域をそろえた比較軸で差分を確認し、改善テーマの優先順位づけや、施策の妥当性検証に活用しています。
今後の展望:守りから“攻め”の IR へ
現状は IR 委員会や執行部での活用が中心ですが、次のステップとして、各教員が授業改善や学生支援の PDCA に日常利用する状態を目指します。導入大学の拡大に伴い、匿名化データを用いた大学間ベンチマークの粒度がさらに上がることで、新規学部構想や定員設計など、将来投資に直結する“攻めの IR”への適用を見込んでいます。
病院連携という大学の強みとデータの客観性を結びつけ、“現場の実感 × 客観データ”の往還を加速していきます。

亀田医療大学におけるIRQuA導入のポイント
- IRQuAならではの大規模な予算取りを必要としない価格帯により、小規模の大学でも費用対効果の高さを実感。
- 執行部から現場までデータに立脚した学内コミュニケーション環境を醸成。
- 学内関係者にダッシュボードを開放して終わりではなく、IR部門が積極的にレポーティングを行うことでデータへの関心を引きつける取り組みを実践。

